エレメンツ
鴇田智哉[著]
句集
第 37 回詩歌文学館賞受賞!
既刊句集『弦楽』『黒鍵』『連音』『高きに登る』『弦響』にくわえ、著者第 6 句集にあたる新作『輪舞曲(ろんど)』を集成。
巻末には、永島靖子・福田若之による「解説」および「自筆年譜」「解題」「初句索引」を付す。
句業 60 年余、『評伝 三橋敏雄―したたかなダンディズム―』の著者による、ひたすらな俳句の響き。
父ほどの男に逢はず漆の実
白芥子をまはり躰が逢ひにゆく
橋を来る揚羽に双手ひろげたる
卯月浪この子を抱き飽きにけり
呼ぶ声を空は返さず花ぐもり
もう誰の墓でもよくて散る桜
嗅いでから抱く赤ん坊朝ぐもり
雨から雪へ老人ばかりのタンゴ
桃と桃かすかに触れてゐてこはい
謎のないわたしと老いた梟と
花ふぶき花ふぶき机上死こそあらめ
白蛾も来よわが九十の賑ひに
弦楽
黒鍵
連音
高きに登る
弦響
輪舞曲(ろんど)
解説
「ひたすらな響き」永島靖子
「折句と割句、そのうえに立ち現れるもの」福田若之
解題
自筆年譜
あとがき
初句索引
遠山 陽子(とおやま ようこ)
1932 年東京生まれ。「馬酔木」「鶴」「鷹」を経て三橋敏雄に師事。2012 年、600 ページを超える大著『評伝 三橋敏雄―したたかなダンディズム―』(沖積舎)を刊行。句集に『弦楽』『黒鍵』『連音』『高きに登る』『弦響』。茨城文学賞、現代俳句協会賞、桂信子賞など受賞。毎日新聞東京版「文園」選者。